ハルジオン。

「たっちゃん」

百合子がその背中を目で追う。

「じゃあな」

達也は花束を拾い上げ、それを靖之に手渡すと、ポンと肩を叩いて背を向けた。

「待って」

その背中を靖之が引き留めた。

「あ?」

達也が振り返る。

「すぐ済むから、たっちゃんにもいて欲しいんだ」

「けど」

「いいから待ってて」

靖之の真剣な表情につられた達也は、肩をすくめて戸口にもたれ掛かった。