ハルジオン。

「……ところで百合子は?」

「え?」

「どうしてここに?」

「それは……」

百合子は言葉に詰まった。

『やっくんに呼び出されたの』

そう正直に言っていいものなのか、咄嗟に判断に迷った。

恐らくもう、靖之はすぐそこまで来ているはずだ。

とその時、

「ゆりちゃん?」

躊躇っている百合子の耳に、何かを心配するような靖之の声が聞こえてきた。

「これは……」

小屋の入口に落ちたバッグを拾い上げ、靖之が外で息を飲む。