ハルジオン。

靖之は目を輝かせた。

『うわあ!凄い!……ねえ、どうやって登るのか僕にも教えてよ』

『秘密』

『えー!』

『へへ、いいだろ。父さんに教えてもらったんだぜ!』

たったそれだけの短い会話。

達也は愛想のない少年だった。それでもしつこく追いかけた。

根負けしたのは達也の方。

いつしか二人は互いに引き合うように、毎日一緒に遊ぶようになった。

百合子が二人の中に入ってきたのも、ちょうどその頃だったように思う。