(二)


長めの髪の毛を手で撫でつけ、大きな姿見の前で服装をチェックする。

「ふう」

靖之は細く息を吐き出し、ゆっくりと顔を上げた。

鏡に映る自分の顔を見る。

なんて頼りない、思い詰めた顔をしているんだろう。

今さらながら、自分の肝っ玉の小ささに嫌気が差す。

「まるで負け戦だな」

青白い頬をさすり、自嘲気味に笑うと、靖之はすぐ横にある柱時計に目を向けた。