ハルジオン。

「…………雲」

芝生の上に大の字にひっくり返ったまま空を見上げた。

いろんな形をした雲が少しずつ表情を変えながら、春風に乗ってどこかの町へと流れていた。

空はいい。

雲も好きだ。

あれなら、どこへだって行ける。

(遠くに行きたい)

達也の頬を涙が伝い落ちた。

たった八才の少年にとって、それはあまりに残酷な願いだった。