ハルジオン。

それが何か分からないまま伸びをし、重い腰を上げた。

足元に何か落ちている。

「トランプ?」

濡れたスペードのエースを見つめる。

持ってきた記憶もなければ、洞穴の中に落ちていたわけでもない。

「何だコレ?」

達也は首を傾げた。

さっきの夢にしたってそうだ。

なぜか見知らぬ子供となって、自分と母を遠目に見ていたのか。

分からない。

そして今度はトランプだ。