ハルジオン。

「来んなってば!」

達也は感情のままに大声で叫んだ。

なんで僕のランドセルだけがボロボロなんだろう?

靴だって、服だって、帽子だって、ぜんぜん他の子達とは違う。

それに僕には母さんが居ない。

ずっといつか母さんは帰ってくるって思ってた。でもそれは間違いだった。「ママは死んじゃったんだ」と父に聞かされたとき、頭の中が真っ白になった。

知ってたよ。知ってたさ。
だんだん分かったんだ。死ぬってどういうことなのか。

でもなんで?
どうして僕だけ?

鼻水で汚れた袖で何度目を拭っても、達也の視界はすぐに涙で滲んだ。

「……あっ」

躓いて足がもつれた。グラリと景色が傾いたかと思うと、たちまち右肩と頬に激痛が走った。