遠のいていく意識の中で、螢の揺らめきが微かに見えた。

一つ、また一つ。

螢の灯が増えていく。

まるでスカイダイビングをするかのように、達也は四肢を大の字に広げた。

風の抵抗が激しくなり、バタバタと服をはためかせる。

「螢……」

達也は呟いた。

無数の螢の輪が、紺色の空に舞い上がっていくのが見える。

達也とアキトは、その輪の中を真っ逆さまに落ちていた。