(六)


あれが……

「螢の泉」

二人は、森の奥で淡い光が交錯する様をしばし見つめていた。

「……行かなくちゃ」

アキトが達也の袖を引く。

「ああ。問題はどうやってあそこにたどり着くかだな」

我に返った達也は、恨めしげに夜空を見上げた。

濃紺色の夜空一面に薄雲のカーテンが引かれていて、目印になりそうな星は一つも見あたらない。

かと言って、また森に戻れば、歩くうちに方向を見失うことは目に見えている。