目を凝らせば、森の入り口の少し先にある八坂神社や、その横を流れる逆瀬川までもが小さく見えた。

「どうだ?」

「ん…………」

二人は木の幹にしっかりと掴まり、森を隅から隅まで見渡した。

「よく見るんだ。どっかにそれらしい泉とか池とかがあるはずだ」

「分かってる」

むむむ、とアキトが目を細める。

「待てよ、螢の泉ってくらいだ。どっかに螢の光のようなものが」

「…………あった!」

「どこだ?」

「あそこ!!」

勢いよく指さしたアキトの視線の先に、鈍い光を放つ螢の群れがふわふわと漂っているのが微かに見えた。