「おおーッ!」

ようやくたどり着いた達也が、アキトの横で歓声を上げた。

「……こいつは凄げぇ」

「でしょ?」

アキトが得意げに顔をほころばせる。さっきまでの泣き顔が嘘のようだ。


濃紺色の夜空の中、達也とアキトの大木だけが、生い茂る森の中からひょっこりと顔を出していた。

「思ったとおりだ」

達也はアキトの肩をぐいと引き寄せた。

「これで森を一望できる」

「……うん」

達也の手を振り払おうともせず、アキトは小さく頷いた。