達也は目の前の大木を見上げ、子供のような笑顔をアキトに向けた。

「この木に登りゃ、ずいぶんと見晴らしが良くなると思わねーか?」

「……」

アキトは黙った。

達也の言わんとすることが、ようやくアキトにも分かったからだ。

「……分かった」

「よし」

達也はアキトの肩をパンと叩き、おもむろに背中を屈めた。

「何?」

戸惑い気味にアキトが尋ねる。