ハルジオン。

「馬鹿言ってんじゃねーよ。子供捨てて逃げる親がどこにいるよ」

「居るんだよ!」

悲痛なアキトの言葉に、達也はハッと顔を上げた。

「……父さんがそうだった」

――パサリ、

集めたトランプが滑り落ちる。

「あの日僕は、父さんと二人で遊園地に行ったんだ」

そう語るアキトの顔は、今にも倒れてしまいそうなほどに蒼白だった。


『ここで待ってるんだぞ』


幼いアキトにソフトクリームを渡したきり、アキトの父は姿を消した。