ハルジオン。

すると、アキトがゆっくりと手を止め、消え入りそうな声で話し始めた。

「アイツがさ……」

「……」

達也の手は止まらない。

「アイツが母さんに話している声が聞こえたんだ。……ガキを施設にでも入れて、どっか遠くに行こうぜって」

「……」

ほんの一瞬、達也の手が止まった。

「母さん、何も答えなかった。頷かなかったけど、首を横にも振らなかった」

「……そっか」

達也は目を閉じた。

トランプを掴む手に力が入る。