大木の横には、大人が数人入れるほどの洞穴があって、まるで二人を見守るかのようにひっそりと息を潜めていた。

『あいぜんくつ』

そう呼ばれているのだと、旅人は教えてくれた。


「……どうしたの?」

アキトが不思議そうに見上げる。

「うん、決めた」

旅人は小さく頷き、アキトの体を軽々と抱え上げた。


「もし辿り着けたなら、坊やが息子の親友になってくれるよう、神様にお願いすることにするよ」