「待てよ」

埃にまみれた百合子の体に、翔の精悍な体が覆い被さる。

「ヤ」

唇を塞がれる。

「うぐ……」

百合子の服に翔の手がかかった。

必死で顔を振りほどき、睨みつける。

「逃がさないよ」

「……嫌」

荒々しく上下する胸元を掴んだ翔の手に力が加わる。

「嫌あああ!!」

必死に抗う百合子の悲鳴が、静かに暮れ始めた八坂神社の木々の影に吸い込まれ、かき消されていった。