ハルジオン。

――これは、罰。

達也を救うどころか、自らの手でどん底に突き落としてしまった。

罰なのだ。



「たっちゃん……」

いつだったか、百合子はついその名を口にしてしまったことがあった。

翔の動きが止まり、体が離れた。

汗ばんだ肌が荒々しく脈打っている。

「……そいつか」

ギリと奥歯を噛みしめる音が聞こえた。

「え?」

無意識のうちに達也の名を呼んでいた百合子には、最初翔が何を言っているのか分からなかった。