ハルジオン。

初めて翔と出会ったのは、雑貨屋で働き出して間もない頃のことだった。

店の同僚に紹介され、仕方なしに何度か一緒に食事をした。

三度目に会った時、告白された。

どこにでもいるような、ごく普通のサラリーマンだった。

ただ一つ違ったのは、彼もまた、達也と同じように早くに片親を亡くし、荒んだ少年時代を送ってきたことだった。

いつだったか、何かのきっかけでその事を知って以来、百合子は翔に達也の残映を重ねて見るようになっていった。

……違う。

あの人はたっちゃんじゃない。

頭では分かっている。

でも、ふと見せる遠い目や、家族に対する寂しそうな表情を見るうちに、そんなことも分からなくなっていた。