ハルジオン。

――遠くに行きたい。

早く大人になりたい……

達也もまた、ずっとそう思って幼少時代を過ごしてきた。

だから、アキトの気持ちも、心の痛みも、手に取るようによく分かった。

「僕は……お荷物だから」

そう言って、アキトはすり切れたトランプをきつく握りしめた。

達也は内心舌打ちした。

まるで昔の自分を見ているようで歯がゆかった。

いや、昔なんかじゃない。

今だって、達也は心の片隅で『イラナイ自分』に怯え、縮こまっている。