濡れた体温ごと奪って



こんな筈じゃなかったのに。


私…この六年間…ずっと翔ちゃんを想いながら乗り越えて来たのに…。


あの時の翔ちゃんはもう居ないんだね…。


翔ちゃんの中ではもう…私との事は過去の出来事の一つでしかないんだ…。








マンションを飛び出し、ただただ宛てもなく歩こうとアスファルトの上を速歩きで歩く。


これはもう…過去にこだわらないで…前に進めって事なのかな…。




「…紗耶っ!!」




車のネオンが反射する中、後ろから私の名前を呼ぶ声が聞こえた。