不器用な僕等の唄を


私は潮の香りを吸い込む。

真っ暗な海は、静かに私達の話に聞き耳をたてている様。

「血の繋がってないお姉ちゃんがいるの。病弱だけど綺麗で、頭良くて、凄い人。」

「…へぇ。」

「私は、お姉ちゃんに、嫉妬してる。」

声に出せば楽になれると思った。

でも、逆。

『お姉ちゃん』そう言うと、昨夜のことを謝っていないのを思い出す。

「…そっか。」

他人事のようなその台詞は、他人事のようには聞こえなかった。