不器用な僕等の唄を





外を見ていた窓がコンコンと叩かれて、前の席を見るとこちらを向いて机に座る雪比良。

「何?」

出席番号は誕生日順だから、あたしの前の席になる。

「降る前に帰らねぇ?」

「あ、そうする。」

桜の時期と共に梅雨も早まったらしく、天気が崩れる。

今日はフラオブは休み。

「綺麗。」

上を見上げれば、桜の花びらが顔に落ちてくる。

「…顔。」

それを取ってくれた。

「ありがと。」

だが、頬を抓られた。

「なにっ。」

「どこまで伸びるか検証。」

「鬼っ。」

そう言ったら笑われた。