と思うより先に、片方の子の顔が曇ったのに気付いた。 「ヤギの高校ってさぁ?」 もう1人の子に目を向ける。 その子も何かに気付いたらしく、『あー』と理解した顔になる。 …なんだろう? 七不思議があるとか?カッコいい先輩がいるとか? 「トーコさんいるよね。」 『さん』付けされたその名前は、赤の他人のように思えた。 「オトミヤトーコって、同じ学年にいない?茶髪で色白のモデルみたいな美人顔の。」 …知っている身近な人。 「いる…けど。」 「やっぱり!」 甲高い声が店内に響いた気がした。