誠には妹も姉もいない。 というか、従姉妹だとしても肩を抱く要素が分からない。 「…ごめん、今日は。」 誠がボブカットの彼女に謝る。 あの声質の割りに、ボブカットの彼女は物わかりが良いらしく、頷いてあたしに頭を下げて人混みに消えた。 「…茉莉。」 誠はあたしを見る。 「近くの公園に移動しよっか。」