ネコをかぶる俺様


2人で騒いでたから、
玄関の音には気がつかなかった。


舞がお兄さんの部屋側の壁にいき、
耳をつけて様子をうかがう。


「・・・・・・。」


「何か聞こえる?」

「何も聞こえない・・・」


そう言うと、舞が立ち上がった。


「よし!行こう」

「行くって?」

「お兄さんの部屋!」

「えぇぇ~~!?」


私はドアに向かう舞の手をつかんで止めた。


「なんでよ~?」

「いきなり部屋行くの?
なんて言って?
ヤバイでしょっっ!」

「大丈夫でしょ~。
怒るような人?」

「そ・・・れは・・・わからないけど・・・」


「大丈夫だってばっ!
男って女には甘いでしょ。
いけるいける」



いつも強気な舞。

ニコニコしながら
私の手をひっぱる。

もみあいになりながら、
お兄さんの部屋の前まで来た。



ゴンゴンゴン


部屋のドアを叩く舞。


「すいませ~ん!

失礼しま~す」



元気よく言うと、
私の手を引っ張ったままの姿勢で
お兄さんの部屋のドアを開けた。