【完】白い花束~あなたに魅せられて〜



案内された席に座れば、やたらと周りに視線を巡らせる目の前の彼。



うーん。
あんなチャラけた店員が出てきたから…か?



薄暗い店内の壁にはライトアップされた絵画が飾られてあって。



…それはまぁ、社長の趣味。



強制的に設置された絵画に涼はかなり嘆いていたけれど、ここは業界人が通う店。



案外受けが良かったらしい。



それに合わせてか最近流れる音楽は専らクラシック。



…前は涼チョイスの洋楽だったっけ。



涼経営と言うけれどここはかなり社長の趣味に近付いていた。
その内社長の趣味の骨董品も飾られる事になるのだろう…



…残念な涼。



ふぅ、と息を吐いたと同時に目の前に置かれたソレ。



グレープフルーツのカクテル。


いつもは店員が持って来るのに今日は涼自ら持ってきた。
明らかにここに居座る気の彼は更には隣に腰掛けようとまでし出した。



おい…。