それにはみんな吃驚していた。
振り払われた大河はただ呆然としていて、私の腕を掴んでいた翔は力を緩めた。
『……』
そのチャンスに翔の腕を振り払って、控え室に戻って急いで着替えを済ませる。
控え室にいたガミさんの戸惑った声に『…社長の所』とだけ告げ、珠璃も亜美奈も避けてスタジオを飛び出した。
とにかく逃げたかった。
あの場から。
……翔から。
…恐かった。
大河が。
一瞬何かとだぶって見えて体が拒否した。
それは昔の記憶?
あの倒れた時の映像?
心の中の深い深い所でうごめく何かを私はまだ知らない。
…知りたくない。
知りたく、ないんだよ。


