「お前、なんなわけ?」
翔に掴まれた腕は私の動きを止めた。
『……』
「場の空気下げんなよ」
……私が、悪いの?
あんな事言う大河が悪いんじゃないの?
掴まれた腕が痛い。
翔は苦手だ。
そんな顔、しないでよ。
怖くなる…から。
人を射るような瞳は私に向けられていて、その心を見透かすような視線が嫌なのに、逸らせない。
「あ〜ほらっ!仁菜今日気分悪いって言ってたし、また今度にしよっ!?」
「「へ?」」
珠璃が咄嗟に言った言葉に亜美奈と陽斗が、やたら素っ頓狂な声をあげたのをキッカケに、張りつめていた空気が少し和らいだ。
…のも束の間。
「…そ、そうなんだ〜そういや、顔色悪…」
『やっ!』
いきなり頭に伸ばされた手を思わず振り払ったら、さっきよりも凍った空気。


