「朱璃も案外一途よね〜」
「相模さんはどうなんですか?」
「あら。アンタ私にそんな事聞いてどうするのよ」
「いや…噂ではQuartetのマネージャーの藤村と付き合ってると…」
「それは、想像にお任せするわ」
スケジュール帳をぺらり捲るガミさんと、携帯を弄る榎本さんの会話を横にしながら亜美奈にふと視線を向ければ…
携帯カチカチと弄くっていた。
その相手はきっと―…好きな人。
だって顔がとても穏やかで幸せそうだったから、亜美奈ももしかしたらそういう相手がいるのかも知れない。
『私トイレ行って来ます』
言い合いを続けるガミさんと榎本さんにポソッと言ってトイレへと向かった。
控え室からトイレまで少し遠い道のりを歩く。
夜の館内は昼間と違って、人が閑散としていた。
ヴーヴー
トイレへと続く廊下を曲がった時、ポケットに入れていた携帯が鳴った。
多分翔からだ!
携帯を開いたと同時―…
ガツンッ
頭に鈍い痛みが走り、私の意識はそこで途切れた―…


