『ありがと…あっち、行こ?』
「あぁ」
暫く抱き合った後、リビングへと足を運ぶ。
『何、飲む?』
「…ビール」
一瞬迷った様な表情を浮かべた翔だけど、それを聞いて冷蔵庫からカフェオレとビールを取り出す。
テーブルにそれらを置き、ソファーに座れば、私の隣に腰を落とした翔。
そしてそのまま
「ごめんな、仁菜」
謝罪を口にした。
『もういいよ』
もういいの。
別に怒ってるわけじゃない。
過ぎた事はどうにもできないんだから…
杏里ちゃんとの記事がどうこうよりも、私にはもっと大事な事がある。
『…それよりも、相談して欲しかった』
翔の手にソッと自分の手を重ねる。
私よりも体温の高い翔の手。
それにもう一方の手を重ねた翔は言う。
「…ごめん」
『うん。榎本さんは私に心配させたくなかったんだろって』
だけどね、翔。
『私は言われない事の方が辛かった、かな。
榎本さんの方が翔の事知ってて悔しかった』
「それは…」
『わかってる。私の為でしょう。それでも聞くくらいはできるから…その気持ちはわかって、欲しい…』


