【完】白い花束~あなたに魅せられて〜



テーブルに置かれたオレンジジュースを口につける。
甘いのと酸っぱいので顔をしかめてしまった。



がやがやと騒がしい店内。
客は私達とスタッフしかいない。



薄暗いここ。
明日にはもう帰るわけで、こんなに飲みまくって大丈夫だろうか…少し不安になる。



榎本さんは私の隣に座ったまま、ガミさんの事を私に愚痴ってくる。


やっぱり酔っているらしい。



だけどあのガミさんみたいな迷惑極まりないものではないので、まだ善しとしようと思う。



「仁菜聞いてるか?」


『…聞いてますよ』



榎本さんは私の頭をグラスで小突き「カンパーイ」キャラが崩壊しつつある。







ふぅため息が漏れる。
店内の熱気のせいか。
夏だからか



身体が熱い。



顔を手で仰ぎながら、目の前に置かれたピザを一切れ口に含もうとした瞬間



「しかしお前んとこすげーなぁ」



大河に泡盛を飲まていた現地スタッフが一際大きな声を出した。