「お〜仁菜チャン来たか〜」
ジョッキを右手にして、左手を上げてヘラリ笑ったのは大河。
いつの間にか戻って来ていたらしい。
わいわい、がやがやするそこ。
グラスコートには昼間にお世話になった現地のスタッフ達と、私達と一緒に現地入りした数名のスタッフ。
榎本さんもその中にいて、無理矢理お酒を飲まされている最中だった。
『みんな出来上がってるね…?』
「まーね〜」
大河は手にしたジョッキを口に持って行き、黄色い液体をすべて飲み干す。
「俺達はこれが楽しみだからな。大目に見てよ」
大河の隣に座れば、目の前に座る現地スタッフさんにがははと笑いながら言われた。
いや、まぁ…うん。
それはわかるんだけど…
チラリ、私達の後ろに座る榎本さんを盗み見る。
あれは、ナイでしょ。
明らかに飲まされすぎの榎本さん。
沖縄の人はお酒が強いからって、泡盛一気なんてしていた。


