翔に別れを告げて部屋に入れば、聞こえてきた声。
「…仁菜?」
顔色の悪いガミさんは、薄暗いリビングでソファーにぐったりと横たわり、私を見上げる。
二日酔いらしい、ガミさん。
よくある光景のはずなのに、どこか様子がおかしい。
『ガミさん…?』
カチッと部屋の照明を点ければ、眩しそうに目をしかめたガミさんに近寄って気付いた。
…顔が赤い。
肩ではぁはぁと息をするガミさんの目は、少し潤んでいる。
『風邪…?』
「ちょっとね。…大丈夫だから」
額に置くガミさんの腕を取っ払い、手のひらでそっと確認すれば
『熱っ』
尋常じゃないくらい熱かった。
思わず顔を顰めてしまう。
何が大丈夫なんだか。
苦しそうに息をするガミさんに、冷凍庫から氷を取り出し氷枕を作る。


