『翔、時間大丈夫?』
しばらく甘い雰囲気を味わって、翔から離れる。
少し離れがたいけど、翔は仕事の空き時間にわざわざ来てくれたんだから、我が儘は言えない。
翔は腕時計に目を向け「あー…」呟く。
それだけで時間がない事がわかってしまう。
だけど翔の仕事に支障をきたしてまで、一緒にはいられない。
『仕事頑張ってね?』
「俺のマンションで待ってるか?っつっても俺今日いつ上がれるかわかんねぇけど…」
まさかの翔からの誘い。
嬉しいけど、明日翔は朝から仕事だっはず。
いつ上がれるかわからない翔に、少しでも負担がかからない様にしたくて、首を横に振った。
『大丈夫。今日はガミさんの家行くから』
今日、ここに来てくれただけで十分だよ。
そう思いながら、にこり笑みを翔に向けてドアに手を掛ければ、腕を掴まれた。
「どこ行くんだよ?相模さんのマンションまで送る」
『え…?でも時間…』
タクシーでマンションに行こうと思った私をシートに引き戻して、車を発進させた翔。
「大丈夫だから。素直に送られとけ」
頭を撫でた翔に『ありがとう』呟いて、ガミさんのマンションまで送ってもらった。


