『いえ…まぁ、はい』
薄ら笑いを浮かべながらも、榎本さんとは決して目を合わせない。
だって怖い。
仕事で迷惑かけて、話を聞いてもらって、助けてもらったのに…なんでこんな時に素直に口が動くんだろうか?
「ま、俺の話は置いておいて、だ」
薄ら笑いをしながら、背中に変な汗をかく私に榎本さんは涼しい顔して言った。
「あのガキの事は気にすんな。それが一番だ。いちいち相手にしてたら身がもたねぇよ」
『…はぁ』
「今日みたいになるくらいだったら先に言え」
『…』
「わかったか?」
ギロリ睨まれて『はい』即座に返事した私は、彼に甘えている。
「今日はまぁ許すけど、同じ様な事次したら殺す」
さも当たり前の様に物騒な言葉を吐いた榎本さんは、私の頭を小突いて再度返事を促す。
それに小さな声で『はい。すいませんでした』謝れば、途端に助手席のドアを開けた。
…何?


