【完】白い花束~あなたに魅せられて〜



『いえ…まぁ、はい』



薄ら笑いを浮かべながらも、榎本さんとは決して目を合わせない。



だって怖い。
仕事で迷惑かけて、話を聞いてもらって、助けてもらったのに…なんでこんな時に素直に口が動くんだろうか?



「ま、俺の話は置いておいて、だ」



薄ら笑いをしながら、背中に変な汗をかく私に榎本さんは涼しい顔して言った。



「あのガキの事は気にすんな。それが一番だ。いちいち相手にしてたら身がもたねぇよ」


『…はぁ』


「今日みたいになるくらいだったら先に言え」


『…』


「わかったか?」



ギロリ睨まれて『はい』即座に返事した私は、彼に甘えている。



「今日はまぁ許すけど、同じ様な事次したら殺す」



さも当たり前の様に物騒な言葉を吐いた榎本さんは、私の頭を小突いて再度返事を促す。



それに小さな声で『はい。すいませんでした』謝れば、途端に助手席のドアを開けた。



…何?