自分の部屋に帰ってガミさんの用意したスーツケースを漁る。
ガミさんチョイスだからか、少し大人っぽい服が多かった。
何着かスーツケースから取り出し、ベッドに並べる。
…何を着ればいいのかわからない。
「終わったか?」
『まだっ』
バルコニーに出ていた翔の声に焦る。
26階にあるこの部屋はワイキキビーチが一望できる、オーシャンビュー。
だけど海は漆黒に呑まれて闇と溶け合っていた。
微かに聞こえる波音だけが、海が近くにある事を知らせている。
「俺が選んでやるよ」
『え?』
ベッドに並べた服を手にとり、私に合わせる。
「…これ、いいんじゃね?」
『これ?』
それは淡いピンクのワンピース。
私が普段着たりしない色。
それは、ガミさんが私に、と買ってくれたやつ。
それに黒いベルトを合わせて、初日に珠璃が私に買わせた白いミュールを選んでくれた。


