『好き』 「あぁ」 翔が好き。 伝え方なんてわからない。 言葉にする以外、私にはわからないんだよ。 だから、そのままその気持ちを口に乗せて運ぶ。 翔にきゅっと抱きつけば私の腰に片腕を回してくれる。 そしてもう一つの手で頭を撫でてくれる。 …落ち着く。 『…ね、翔?』 「ん?」 『なんで秘密なの?』 じ、と見上げれば再び振ってくるキス。 「仁菜を吃驚させたいから」 それは答えにはなっていなかったけれど、まぁいいか、と思える程幸せな夜だった。