私は涼子ちゃんに手を振って、別れた後、先輩を中庭に呼び出した。



「どーしたのー?」


いつものヘラヘラした先輩。

…でもその中には色んな先輩がいることも、私はもう分かってるんだ。


「話、があるんです」


か細い声になってしまって、顔も赤くなってしまった。
もう、これでは告白します、と宣言しているようなもの。


先輩も分かったみたいで、真剣な目付きになった。


「……私…」


どうしよう後が出てこない。
声が出ない。


…やっぱり、怖い。

フラれるんじゃないだろうか。


――だって、私は顔以外……価値なんかない人間だから。



『ごめん』心の中で涼子ちゃんに謝った瞬間。



口に温かい物が触れた。




「……!!!」


え。なんで。


なんで私――キス、されてるの?