「何、百面相してるの?」
先輩は不思議そうに、私の顔を覗き込んだ。
「――っ!!きゃあああ!!」
――バカ。顔が近いのよっ!!
「そんな、驚かなくたっていいのに」
あんなに近けりゃ、誰でも驚くし。
「……ちょっと顔赤い」
先輩がふっと口元を緩め、私の頬に手を添える。
少し……その手が震えていて、私はドキっとしてしまった。
「先輩…」
どうして……?
「…ごめん。何ビビってんだろ、俺」
先輩は苦笑しながら、私の頬から手を退けた。
「…ビビリ、ですね」
先輩が離れてからもずっと私の頬は熱くて………
甘く疼いた。

