「うん。――やっぱ、柏木さん笑ってた方が可愛い!」
「へ?」
わ、私…笑ってたの?
あまりにも突然クッキーなんて渡され、変なコト言いだされたからかな。
多分、笑いというより……苦笑に近いと思うけど。
「今度、ご飯一緒に食べてくれるなら――また、そのクッキーあげるね!!」
「はぁ!?」
餌づけですか?とツッコミたくなるような言葉を残して、彼女は教室へ入って行ってしまった。
――なんなの、あの子。
……変なの……。
そう思いながらも、廊下の隅っこで私はもらったクッキーを口にした。
甘くて、サクサクしてて、チョコが所々入っててアクセントになってる……
すごく美味しい――
なんだか…心が満たされたような気分。
その時、自然に口元が緩んでいるコトを私は気付かなかった。

