「ふふ、でもね。別に弁解をしたわけじゃないよ」
「…はい?」
ニコっと笑う彼女の顔に、"企み"は潜んでいないのは確かだった。
純粋無垢で、素朴。そんな言葉が似合う。
――少しだけ、自分の黒い部分が綺麗になった気がした。
「私も麻友も、出来れば柏木さんと仲良くしたいの。
――ちょっとずつでいいから、さ」
突然彼女は持っていた、クッキーの袋を私に渡した。
「え!?」
何故クッキー!?
袋には、『季節限定 ティラミス×チョコクランチ デザートクッキー』という文字がプリントされている。
「そのクッキーおいしいよ!…今期の新作で一番!!」
突拍子もなく、人差し指を立てられた。
……あなたも、黒髪ツインテールと同じぐらい真っ直ぐだよ、とツッコミたくなった。
「…あ、ありがとう」
何て言ったらいいか分からず、返す気も起きなかったので、とりあえずお礼を言った。

