「……もういいです」
食べかけのお弁当箱のフタを閉めて、私は立ちあがった。
先輩はそれを止めずに、ニコニコ笑って、手を振るだけ。
「そう?またね」
「――っ!!失礼します!!」
――何よ何よ何よ~!!
さっきは俺以外扱えないとか言ってたくせに、私が中庭から出ようとしても、全然それを止めてくれないし……!!
ちょっとぐらい気にしてくれたっていいのに。
……って。
私、先輩に止めてほしいみたいな、感じだ。
いや、そんなハズはないのよ?
一瞬の気の迷い、若気の至り…先輩の馬鹿が伝染した――それだけの話。
うんうん…
それだけのはな――!!
ドンっ!!!
「おうっと」
考え事をしていると、人にぶつかるとか……ありがち展開。
私は少し痛い頭をさすりながら、冷静に分析した。

