「まださ……瞬くん、だっけ?
諦めてないの?」


先輩は肩から手を離し、ベンチを立った。


「……諦めてます」


そう言った瞬間、先輩が触れていた肩の部分が熱くなった、気がした。


「なんで?」


――人の心に土足で踏み込むって正にこのコト?


「…先輩には関係ないです」

「麻友、ちゃんでしょ?」

「!!!」


何で、そんなコトまでこの人知ってるわけ!?


「ありゃ図星?カマかけたんだけどね」

「……」


分かってきたわ、松岡龍世。

こいつも私に負けず劣らず腹黒だ。