「ねぇ~ねぇ~」

「もう止めてくださいっ」



私がそう言った瞬間、


「龍世~?ここに居たのぉ~??」


猫撫で声が聞こえてきた。



「理恵ちゃんじゃ~ん♪」

先輩がにこっと笑う。
なんかムカつく。

それに、理恵って人なんで此処に来たんだろう?
中庭なんて、普段誰も寄り付かないような場所なのに。


「もう!探したよぉ!」


ちりちりの金髪の女は先輩に駆け寄った。
派手な化粧に、短いスカート。

下品すぎ。

龍世はびっくりしながらも、

「え、どうしたの?なんか約束してたぁ?」

といつものお得意の笑顔で質問した。


すると、理恵って女は私をチラッと見てニヤりと笑った。


「ううん♪最近、昼休み龍世いなくなるからさぁ…お弁当作ってきたんだ!」


可愛く包まれたお弁当箱を笑顔で取り出す彼女。
さっきの下品って言葉には似つかわしくない、とても爽やかな笑顔を浮かべていた。
人って見かけによらないんだなぁ…。


「うわぁ!マジで!サンキュー。早速食べるな!」


先輩は嬉しそうに笑顔で受け取った。



ズキン


「えへへ、ありがとぉ!早く早く♪」

先輩は、お弁当箱の包を開け、唐揚げを一口食べた。

「うまっ!おい、瑠璃も食べろよー。おいしーぞ?」

理恵って子は私に対して余裕の笑顔を見せてきた。

「うんうん♪いっぱい作ってきたし食べてみて!自信作なんだから!」


ズキン



……?


え。

なんで??



「…先輩、私教室戻ります」

気づけばこんな事言ってた。
もう此処に居たくない。

今まで居心地良かった場所が急に…居心地悪くなった。



「え?なんで?」

先輩が不思議そうな顔をした。

「そうよ~?食べていってよ♪」

彼女も大きな瞳を更に大きくさせた。


―――――…

……分からない。

なんで、私こんな胸が痛いの…?



私は、先輩の問には答えず図書館へと走った。