私はびしょ濡れのまま五十殿君の頭に触ってしまった。
五十殿君の頭が少し濡れてしまった。
「っ…と。すまん、頭濡れてしまった。」
五十殿君は頭をあげた。

「…本当に、いいんですか?」
「ああ。私は過去の事をを気にしないからな。」
「過去って10分ほど前のことですけど…。」
「10分ほど前だって未来じゃないから過去は過去だ。」
「あんまりよく分かりませんがそういう事にしておきましょう。」
五十殿君は、ははっと笑った。
釣られて私も笑ってしまった。



「はは、桐山さんはおもしろいですね。」
「そうか?ジョニーとか例のアホ三人のほうがおもしろいじゃないか。」
「まぁ、それもそうですけどね。…あ!そうだ!!」
五十殿君はズボンのポケットに手を入れた。





「これ、使って下さい。」

そうやって出されたのはピンクのフリルのついた可愛らしいハンカチだった。

「おぉ、かわいいな。」
五十殿君はプルプルと身体が震えている。
顔を見ると…真っ赤だった。


「どうした!?」
「これ、僕の趣味じゃありませんから!!こ、これ妹のですから!!」
「妹いるのか?」
「は、はい!朝急いでて、間違えて持ってきてしまったんです!!本当ですから!!」
顔を真っ赤にして否定する五十殿君。
なんというか、かわいらしい。

「信じる。五十殿君そんな趣味に見えないからな。でも妹さんの使っていいのか?」
「いいんです!!どうぞ使って下さい!!」
「…そこまで言うなら。」

私はハンカチを手に取った。顔や髪の毛、手を拭いた。


その間、五十殿君はずっと下を向いていた。




…おもしろいなぁ。