「あの…桐山さん…。」
「う…ううう…。」

他のクラスの男子や女子がこっちを見る。




「ねぇねぇ何があったのー?」
「転校生ごじゅうとのが桐山琴音の手にキスした。」
「はぁ!?」
「あの暗い眼鏡に!?」
「あのイケメンが!?」






い、いきなり注目の的になってしまったじゃないか…!
他のクラスの女子の視線が怖い!
男子も好奇心でこっちを見る!
恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい
恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい








「桐山さん、本当にすみません!!」
深く頭をさげる五十殿君。
「怒って…ますよね?」
怒ってないけど羞恥心があふれ出てくる。
男の人に触られたのなんて幼稚園以来だし、こんなに注目されたのも初めてだし。
し、しししし、しししかも、手にキスされるなんて初めてだ!
私は思考回路がショートしてしまった。






「桐山…さん?」
「う、ううう」
さっきから私『う』しか言ってない。

「桐山さん、大丈夫ですか?」
「う、う、うううう、うわぁぁっぁあぁああああぁぁっぁぁぁぁああぁぁぁ!!!」



「え、桐山さん!?」




気が付けば私は走っていた。ドアの近くにいたジョニーを蹴飛ばした。
「俺が…何をした…。」そう言ってジョニーは倒れた。
「燃え尽きたよ…真っ白にな…。」「ジョニィィィィイイィィィィィィイイィイィ!!」
という声が聞こえたのは気のせいだ。うん、気のせいに決まってる!!


私は振り返る人たちなんか気にせず走ってトイレに向かった。
【廊下は走っちゃいけません】なんて張り紙をスルーした。





「初めてだ…こんなに心臓がドッキドキ鳴って顔がこんなに赤くなるなんて…。」