結局人は利己的な生き物なのだ。誰だって自分が一番かわいい。傷付きたくない。そのためになら簡単に、悪魔にだってなれる。あたしにだって、簡単に。 …平岡君に返事をしたのは、その次の日だった。 思えばここから動き始めたのかもしれない。ゆっくりと、でもはっきりと。耳に響く、罪の音のする歯車が。 彼の笑顔が、今も胸に痛い。 ……………