高校に入学して、もうすぐ1年がたとうとしていた。
今は寒さが厳しい2月の終わり。
カフェに入り、いつものコーヒーを片手に2階の隅っこに腰をおろした。

暖かいコーヒーが喉に痛い。冷えきった体が胸元を中心に次第に暖かくなるのを感じた。

......やっぱり3人目か。

冷静に考えて、今日別れた彼が高校に入って3人目の彼氏だったことに気付いた。3人だろうが4人だろうが、そんなに重要じゃないけれど。

告白された時のあたしの付き合う基準はひとつ。

年上であること、それだけ。

裕太を意識してないと言えば嘘になる。年上と付き合うことで自分の気持ちに蓋をしようとしてきた。


でも、みんな裕太の代わりだというわけじゃなかった。


告白された時、あたしは本当にその人を好きになりたいと思うのだ。毎回思う。「この人ならあたしの想いをきっと消してくれる」と。

手を繋げば、キスをすれば、抱き締められれば、抱かれれば......この人を好きになれる、きっと。


でも毎回駄目だった。あたしのこの忌まわしい想いを消してくれる人なんていなかった。


裕太以外を、好きだと思えなかった。