朝っぱらから「会いたい」と言われたから学校をサボって会いに行き、「ヤリたい」と言うから制服を着替えてラブホに行き、挙げ句の果てに真っ昼間のラブホ前で「別れたい」と言われれば誰でも謝る気にはなれない。
最初から別れる気だったのなら、何で抱くのだろう。どうせ別れるなら、最後にいい思いでもしようと思ったのだろうか。
別れる原因はあたしにあるわけだから怒るわけにもいかず、しがみつく気もさらさらないので、従順な彼女は全てにおいて「いいよ」と即答するしかない。
こんな別れ方をしても傷付くことはなかった。
それが一番の問題だということもわかってた。
結局あたしは、相手を好きになれなかったのだ。
......公園の比較的綺麗な公衆トイレに行き、紙袋に詰めた制服に着替える。入学当初切りすぎた髪は、ストレートのまま肩下まで伸びていた。
鏡の前でさっと髪を手で整え、履き替えたルーズソックスを少し引っ張りあげ、スカートをもうひとつ折りトイレを後にした。
時計を見ると、午後2時半。今から学校に行くのもだるいけどだからと言ってすることもない。
とりあえず寒さを凌げる場所に行きたくて、比較的家に近いカフェに向かった。



