ホタル




……………

スーパーでピーマンと牛乳、朝御飯のためのシリアルを買って、煙草を買うために家の近くのコンビニまで戻った。

必要最低限の食品が入ったビニール袋がカサカサ音をたてる。

静かだった夜の闇から抜けると、コンビニにはどこかのラジオチャンネルが響いていた。

「マイルドセブン」

言った後気付く。いつもある棚の中には、あたしが吸うタール値の煙草がなかった。
店員もよく知っている人だったからか、「すみません、さっき売れちゃって…」とすまなさそうな表情をした。

「そっか…じゃあ、マルボロでいいや」

はい、笑顔になった店員はさっとマルボロを手にした。あたしより少し若い店員。高校生だろうか。この愛想のよさが、あたしは気に入っている。

「ありがと」

おつりのないように小銭を渡し、笑顔でコンビニを出た。少し重いドアを押す。春の夜風があたしを包んだ。